ようこそ!このプログは,地方都市在中の私ことフルカワヒロミという腐れ外道が,これまで音楽活動等をする際に使っていた自己オフィスが有名無実化していることを嘆き,個人的な情報発信(というか,音楽を中心に好きなモノを好き勝手に語る)の場として,皆様のお目汚しを気にせず,書き殴っているものです。これを読んで同調してもらえたり,興味を示してもらえれば光栄ですが,なにせ不親切きまわりない内容ですので,更に深く調べたい方はリンク先やGoogle等の検索サイトでお願いしますm(_ _)m

ごあいさつ/高田渡


 仕事の方もぼちぼち片付いて,何とか8時台の電車に乗れるようになってきたし,さすがに10月中旬を過ぎて涼しくなったので,バテバテだった体も少しは戻ったような気もします。その上,MUVOで使えるA-DATEの8Gコンパクトフラッシュを買い逃してどうしたもんかと思っていたのですが,ヤフーのショップで探してみたら,A-DATEのSPEEDYというMUVOで使える8Gコンパクトフラッシュが8500円ぐらいであったので,速攻で購入し,無事届きました。MUVOの残量があと1.5Gはあるので,もう少し持ちそうですが,さすがにMUVOも3年目を迎え,HDDのDAPなのに結構ぶつけたりしているので,そろそろHDDがやばいかもしれないので,買っておいて損はないと思っています。しかし,まぁ高機能のDAPがいろいろ発売されているわけですが,私的にはシンプルかつ音がよいMUVOで十分なんですよね。そういえばROWAで予備バッテリーを買っているものの,まだ使っていないなぁ。まぁ,基盤が壊れるまでは楽しませてもらいますです。

 で,先週,加川良のことを書いたんですけど,ついでに加川良の「教訓」をCDに焼き直して,で高田渡のこのアルバムをかって,MUVOで「教訓」と「中津川フォークジャンボリーライブ」と「ごあいさつ」をヘヴィ・ローテーションをしていたのですか,涼しくなったせいか,非常にはまってしまったです。高田渡は知らない人もいるかもしれませんが,日本のフォーク黎明期から音楽をやっていた人で,2004年に“タカダワタル的”という映画で再度脚光を浴びて,さぁこれからという2005年4月にお亡くなりになった人です。私的には昔はあまり聴いてみようかという気にはならなかったのですが,ちょっと前に坂崎幸之助NHKでやった番組で“生活の柄”とか“値上げ”とかのさわりを聴いて,ちょっと興味をそそられていたのですが,今頃になってなぜか聴きたくなって,買ってしまったものです。まぁ,加川良が好きな私にとって,加川良が好きだった高田渡が気に入らないはずはないと思っていましたが,やっぱりいいですよね。
 1曲目の“ごあいさつ”は27秒という短い曲なんですけど,谷川俊太郎の挨拶の言葉を並べただけの歌詞をカーターファミリーピッキングで軽やかにギターを弾きながら歌っていますが,何せ27秒しかないので,アレっというまに終わってしまいますです。
 2曲目の“失業保険”ははっぴいえんどがバックを演っているブルーズなナンバーですが,なにせタイトルどおりヘヴィな歌詞なんですけど,高田渡の何ともとぼけた声がそんなに重たい感じにしていないのは,流石ですよね。しかし「またしごとにおくれたな,おやかたはいう,お前は首だ」なんてサラッと歌っているのは凄いです。
 3曲目の“年齢・歯車”有馬敲と山之口獏の詩に曲を付けているのですが,これがまたいいんですよ。2つの詩は全くテーマが異なるんですけど,高田渡がギターを弾きながら歌うと,初めから1つの唄のようです。個人的には後半の歯車の詩が好きなんですが,それにサラッと年齢の「ふとひとりぼっちになって,身よりをたずねて,顔のしわをみつめて,目を閉じて」っていう詩を繋げているところがとても好きです。
 4曲目の“鮪に鰯”も山之口獏の詩に曲を付けたもので,「鮪の刺身を食いたくなったと人間みたいなことを女房が言った」という詩で始まるんですけど,そうか,極貧の詩なんだぁと思いつつ,高田渡の声とアコーディオンの軽やかな音で何かユーモラスに聞こえるのが不思議です。
 5曲目の“結婚”も山之口獏の詩に曲を付けたものですが,軽やかなスリーフィンガーピッキングに乗せて高田渡が軽やかに歌っているのですが,この詩の「結婚してしまったのだが,詩はとんと鳴かなくなってしまった」っていうところが,結婚して欠乏感が何となく満たされたら詩が書けなくなったのかなぁと思ってしまったんですけど。やっぱり欠乏感がないと詩が書けない私としてはですね。
 6曲目の“アイスクリーム”は衣巻省二の詩に曲を付けたものですけど,「あんまりながくほっておくとお行儀が悪くなる。」という歌詞は言い得て妙ですね。
 7曲目の“自転車にのって”は初めに壮士演歌の“ハイカラソング”が流れて,はっぴいえんどのバックで本当に軽やかに高田渡が歌っています。この曲を聴くと,自転車にのってフラフラとちょいとそこまで行きたくなりますね。
 8曲目の“ブルース”はスリーフィンガーピッキングの軽やかな音でタイトルに似つかわしくないなと思うんですけど,多分,歌詞がブルースなんでしょうね。「泣くなんてちいさいこと,ため息つくなんでつまららないこと。だのにこのふたつの大きさをとりかえとりかえして,男も女も死んでいく。」だけのシンプルな歌詞なんですけど,真実を突いているなぁとため息をついてしまいましたです。
 9曲目の“おなじみの短い手紙”は何か曲調が違うなぁと思ったら,原曲はフランスの曲でした。直接的な言葉はないのですが「ただのエンピツと紙だけで,ピストルやナイフはなにもいらない。ただの短いおなじみの手紙が,ぼくの命をとってしまう,君の命をとってしまう。」っていう歌詞から召集令状を連想してしまった私でした。
 10曲目の“コーヒーブルース”は高田渡の曲では有名な曲なんだろうと思うのですが,京都の三条,コーヒーのイノダのコマーシャルソングみたいになっていますが,「あんたもどう,少しばかりってのを」っていうラストがいいですよね。
 11曲目の“値上げ”は有馬敲の詩に曲を付けたものなんですけど,これはすごい,私的には名曲です。何がすごいって,「値上げ」の言葉をたとえば「海外派遣」とか「増税」とか「リストラ」とかどんな言葉に置き換えても成り立ってしまう(実際,2ちゃんねる高田渡のスレでは「解散」に変えて書き込みがしてありましたが何の違和感もありませんでした。),とんでもない曲です。はっきり言って,ぜひ聴いてもらって自分なりの言葉に置き換えて歌ってみてほしいですね。
 12曲目の“夕焼け”は吉野宏の詩に曲を付けたものなんですけど,実はこの詩は私が中学生のころに現代詩全集みたいな奴を読んで,なんとなく引っかかっていた詩なんですよね。私自身,この詩やその他の現代詩に曲を付けて歌ってみようとしたことはあるのですが,うまくできなかったことを思い出してしまいました。もちろん,高田渡のこの曲はすごく詩にピッタリした曲が付いて歌われています。嫉妬しても仕方ないのですが,少し嫉妬してしまったです。
 13曲目の“銭がなけりゃ”はバンジョーの軽やかなピッキングで始まり,はっぴいえんどが更に軽やかなバッキングを演っているわ,加川良がコーラスをしているわ,フィドルがカントリーっぽさを出しているわという曲なんです。出稼ぎに来た人に対して「東京はいい所さ,眺めるなら申し分なし。住むなら青山に決まってるさ,銭があればネ!」だなんて訥々と歌ってしまえるのはすごいなぁと思ってしまいましたです。
 14曲目の“日曜日”はうって変わって,高田渡のギターとアコーディオンのみのシンプルな曲なんですけど,「君がいなくなってから,この街に住もうと思っているんです。」っていう最後の歌詞からすると,別れた女の娘のことを歌っているのかなぁと思いつつ,心情風景のみのドライな歌詞なので,その辺はよく分からないんですけど,淡々と通り過ぎてしまう曲です。
 15曲目の“しらみの旅”は凄いです。私の大好きな壮士演歌士の添田唖蝉坊の歌詞をアメリカ民謡に乗っけて,はっぴいえんどをバックにロケンロールをしているんですよ。これにはビックリだなぁ。大体,壮士演歌ってそのままの雰囲気で演る人が多いじゃないですか(まぁ,そもそも壮士演歌を取り上げる人が少ないんですけどね。)。にも関わらず大胆な解釈でありがとうございますって感じですよ,本当。
 ラストナンバーは,本当に有名な曲で“生活の柄”で士は山之口獏なんですけど,「秋は,秋からは浮浪者のままでは眠れない」という世捨て人の詩ですよね。最初の「歩き疲れては夜空と陸との隙間にもぐり込んで,草に埋もれては寝たのです。」っていう詩も凄く好きです。加川良の優しいコーラスやフィドルのしみじみとしたメロディーラインもいい感じです。
 ボーナストラックとして入っている“自転車に乗って(ファンキーヴァージョン)”はバックがキャラメル・ママなんですけど,このアルバム1枚ではっぴいえんどからキャラメル・ママの音の変遷が楽しめるとは思いませんでした。オリジナルとは全く別アレンジになっているのですが,本当にファンキーなバックに高田渡がかみしめるように歌っていて,これはこれで凄い好きな曲になっています。しかし,今から考えると,同じレコードレーベルだとは言え,本当に凄いというか,その後,いわゆるニューミュージック系の歌手のバックでこういう人たちがバックを演るなんて考えられないもんなぁ。

 しかし,現代詩に曲を付けてとか書いていると,私の大好きな中原中也の詩に友川かずきが曲を付けているので,なんとなく勢いで友川かずきのCDを買ってしまいそうだなぁ。まぁ,CD屋をあさってみて気に入ったのがあれば買いましょうかね。
 で,話は変わるのですが,昨年買い損ねたエネループカイロが新バージョンになってアマゾンで売っているのを見つけてしまったです。そろそろ涼しくなったし,早いと買うなら買わないとまたなくなってしまうかなぁ・・・と思いつつ,どうしようかなぁ・・・と思っています。飲み代なら躊躇しないのに,こういう物は躊躇してしまうのはなぜなんでしょうかね。