ようこそ!このプログは,地方都市在中の私ことフルカワヒロミという腐れ外道が,これまで音楽活動等をする際に使っていた自己オフィスが有名無実化していることを嘆き,個人的な情報発信(というか,音楽を中心に好きなモノを好き勝手に語る)の場として,皆様のお目汚しを気にせず,書き殴っているものです。これを読んで同調してもらえたり,興味を示してもらえれば光栄ですが,なにせ不親切きまわりない内容ですので,更に深く調べたい方はリンク先やGoogle等の検索サイトでお願いしますm(_ _)m

Counter-Sensorship/NEWEST MODEL


 しかし,すっかり涼しくなってきたですよね(10月だから当たり前か。)。先週の土日はまだ半袖Tシャツで過ごしていた(寒くはなかったのですけど,違和感はあったけどね。)のですが,さすがに今日は長袖Tシャツにしましたです。というか,長袖Tシャツも早く着ておかないと,あっというまに更に涼しくなってトレーナーに切り替わってしまうしね(まぁ,長袖Tシャツで上に革ジャンという選択肢はもちろんありますけど。これはこれで好きな格好ですし。)。

 で,すっかり涼しくなったので頭の中に「秋の夜長」という言葉が浮かび,NEWEST MODELの“秋の夜長”っていう名曲をふと思い出したので,今回はこの“秋の夜長”が入っているNEWEST MODELのというCounter-Sensorshipというベスト盤を紹介したいと思いますです。このアルバムはNEWEST MODELMESCALINE DRIVEが合体してSOUL FLOWER UNIONになる直前に発売されたベストアルバムで,実は自分でNEWEST MODELのアルバムを買ったのはこれが初めてだったりします(これ以降はきちんと買っていますよ。1ファンとして。)。しかし,これがベストアルバムといえるかどうかはちょっと微妙なんですけど,多分,中川敬の思いとしては1曲目から3曲目からのカバー曲3曲を消化して新しくSOUL FLOWER UNIONに移行したかったのではないかと思います(実際,オフィシャルサイトでもこのアルバムはあくまでもシングルコンピであり,ベスト盤としては(ソウル・フラワー・ボックスを買ったので,私は買っていないけれど)BEAST HITSがあげられていますしね。)。
 まず1曲目の“おもろのきわみ”ですが,原曲はThe Velvet Undergroundの“WE'RE GONNA HAVE A REAL GOOD TIME TOGETHER”なんですけど,「WE'RE GONNA HAVE A REAL GOOD TIME TOGETHER」のコーラスの後,うねりまくるサウンドとコーラスがリフレインされ,どちらかと言うとうつみようこのヴォイスと中川敬の暴れまくるギターが思いっきり唄っていてそれが非常に気持ちい曲です。
 2曲目の“嵐からの隠れ家”はBob Dyranのカバーなんですけど,ザックリとした中川敬のギターと叩きまくるドラム,シャープなうつみようこのコーラスと,ロケンロール色の強い初期SOUL FLOWER UNIONっていう感じで,これはこれで最高にカッコヨシです。というか,まだ中川敬のヴォイスがザラザラした感じでそれが故にうつみようこのシャープなコーラスとマッチしているんですよねぇ。カバーだからなのか思いっきり楽しそうにプレイしていて,そんなところも良かったりもします。
 3曲目の“杉の木の宇宙”はVan Morrisonのカバーなんですけど,この当時(1993年ころ)の中川敬Van Morrison好きをアピールしていたのですが,私はあんまり洋楽を聴かないので,どんな曲調なのか知らなかったので,この曲を聴いたとき,まったくNEWEST MODELからは遠いメロディーラインにあっけに取られてしまいましたが,やっぱりSOUL FLOWER UNION移行期だからこその音源ではないかと思います。
 4曲目の“地平線騒ぎ”はNEWEST MODELとしてはラストアルバムになるUNIVERSAL INVADERに収録されていた曲ですが,非常にアコースティックな曲で,アイリッシュトラッドっぽいアレンジにちょっと驚いたような気がするのですが,その後のSOUL FLOWER UNIONの方向性を考えると,当然の流れだったのかな?と今では思えます。
 5曲目の“杓子定木”は4枚目のアルバムCrossbreed Park(これも名盤ですよねぇ。)に収録されているのですが,この曲もいいんですよねぇ。今聴けば,「大きな栗の木の下」のメロディーでアイリッシュトラッドを意識したようなバンドアレンジで演っているんですけど,もう,この曲は歌詞が最高なんですよね。特にサビの「今日も一日杓子定規で単純な大声を張り上げてた。今日も一日杓子定規で簡単な反抗を繰り返した。」っていう歌詞は,多分,中川敬は周囲のパンクもどきバンドに対して歌ったのでしょうが,私としては当時自分が所属していた労働組合に対するアンチテーゼとして聴いていましたです。あはは,若かったよねぇ,私も。
 6曲目の“外交不能症”はオリジナルリリースはシングルなんですけど,イントロの逆回転っぽいうつみようこのシャウトもカッコイイのですが,この曲は,パンクバンドのNEWEST MODELを思い出させてくれるメチャ暑い曲になっています。イントロのドラムとベースにギターオルガンが加わり,中川敬のがなり立てるシャウトが始まると,もうそれだけでやられてしまいます。「唄や踊りは法の外さ。」とか「この国はインポになりかけ。」とか「星が泣いたような空がある。あんたの日曜日」とかパンクな歌詞が満載で,間奏の中川敬のパンクなギターソロもカッコイイです。しかし「この国はインポになりかけ」っていう歌詞は今でも変わんないなぁというか,あのころからインポになりかけたまま(ひょっとしたらもうインポかもしれないですけど。)なのかもしれないと最近の社会情勢を見ながら考えてみたりもします。
 7曲目の“知識を得て、心を開き、自転車に乗れ!(PART.2)”はオリジナルはUNIVERSAL INVADERに収録されているファンキーなチューンなんですけど,それのリミックスチューンでうつみようこのラップが全面に押し出されたダンサブルなアレンジになっています(したがって,PART.1とは異なり,中川敬の唄は一切入っておりません。個人的にはうつみようこは大好きなので,これはこれでアリだし,多分,リミックス関係は奥野真哉が担当した?のではないかと思えるほど,音響派っぽい作りがしてあって,それもそれで面白いです。多分,これを知らない人が聴いたら外国のバンドだと思うのではないかと思うと,ちょっと笑ったりもして。
 8曲目の“報道機関が優しく君を包む(PART.1)”もUNIVERSAL INVADERにPART.2が収録されていて,個人的にはアルバムを聴く前にライヴでこのPART.1を聴いたので,アルバムでPART.2を聴いた時に,あまりの変わりように唖然としたのですが,このアルバムを聴いて安心しました。こっちはPART.1だったのかって。で1と2の違いなんですけど,個人的には2の脳天気なバージョンも大好きなのですが,1のパンクなアレンジも好きなんですよねぇ。しかし,2の脳天気に明るくマスメディア批判をやってくれちゃってる2の方が個人的には好きですかね。批判するなら小難しい顔をしてするよりも脳天気な笑顔の方が響くと思うしね。
 9曲目の“雲の下”はセカンドアルバムのPretty Radiationに収録されていた曲なんですけど,Pretty Radiationに収録されていたものよりもリズムが重たく,奥野真哉のキーボードがきちんとリフを弾いていたりと元音源はなんなんだろう?って思って調べてみたら“乳母車と棺桶”(これも凄いタイトルだなぁ。)のシングルにカップリングされていたんですねぇ。個人的にはこっちの重厚バージョンの方が好きですね。
 10曲目は私の大好きな“秋の夜長”なんですけど,この曲は“雑種天国”のシングルのカップリングのみで,ハッキリ言おう,こんなに青臭いラヴソングはNEWEST MODELからSOUL FLOWER UNIONまででこの曲しかない!大体サビの「いつまでも,いつまでも2人でいたい。あ〜道ばたで拗ねたまましゃがみこむ日々。」だなんて,いや〜同じ事をやっていたような気がするな,昔。バンドの音も奥野真哉のキーボードを中心にしたポップなアレンジになっていますです。秋の夜長にこの曲を聴きながら,青臭かった昔の自分を思い出すのさ。
 11曲目の“エンプティー・ノーション”もPretty Radiationに収録されていたのですが,その後,シングルでもリリースされ,アルバムバージョンよりも洗練された音になっていると思いますが,中川敬のギターの音が大きめなのは中川敬の好みなのかなぁと思いつつ,間奏でブラスが入ったりと,メジャーデビュー後がヒシヒシと伝わってくる音になっています。
 12曲目の“こたつ内紛争”は3枚目(メジャーでは1枚目)のアルバムのSOUL SURVIVOR収録の今も人気がある曲ですけど,個人的には奥野真哉のピアノと終始鳴っているトライアングルのリズムが気持ちよいナンバーです。というか,この曲のリズムの核は個人的にはトライアングルではないかと思うのですが,多分,誰も同意してくれないんだろうなぁ。しかし,今となっては若干青臭い歌詞もあるもの,「こたつ内紛争」という結局全ては狭い中での争いでないの?という中川敬の真っ当な言葉に今更ながらやられちゃったりもします。
 13曲目の“ニュー人生ゲーム”はまさしくデビュー当時のNEWEST MODELのキャッチフレーズである「ソウル・パンク」を思いっきり体現している曲です。ブラスとバンドの音のせめぎ合いがカッコヨイです。っていうか,タイトルどおり人生ゲームのことを基本的に歌っているのですが,人生ゲームのことのはずなのに本当の人生っていうか生活のことを歌っているように聴こえるのは,人生ゲームが秀逸なのか,中川敬の作詞が秀逸なのか,どちらなのかは分かりませんけど,これはこれでとんでもない曲です。
 ライトナンバーの“団結は力なりは”はBilly Braggの曲をギター中心の短め(というか30秒しかないので本当に短いんですけど。)のインストナンバーです。これについては,中川敬の趣味だよねぇということで,それ以上のコメントはしません。
 しかし,こうやって改めてNEWEST MODELを聴いてみると,パンクバンドとしてデビューしたはずなのに,約4年間であっという間にパンクの枠を飛び越えてミクスチャーというかここまで来たかという感じますよねぇ(特に“ニュー人生ゲーム”と“知識を得て、心を開き、自転車に乗れ!(PART.2)”を一緒に聴いても,とても同じバンドとは思えないですよねぇ。)。まぁ,その後のSOUL FLOWER UNIONのことを考えると,それも当然か・・・という気もしますが。

 さて,前回,梶山シュウさんの「ゆほびか」を紹介したのですが,別のところで梶山シュウさんから,私の疑問への回答と間違いの訂正等のコメントをいただきましたので,以下のとおり載せておきますです。梶山シュウさんありがとうございました。勉強させていただいたとともに,自分の音楽的語彙の少なさに少し反省もしたりして・・・
「“サグラダファミリア”はガウディのアレで,“あやかし”はスパニッシュではなくてアラブです。まぁこれは蘊蓄なので読みとばしてもらっても良いですが,同じやうな半音階のメヂャーコードの移動,てのはスパニッシュとアラブの双方混同される要素ですね。スパニッシュのそれは,結局はトニックに対しての5thの変化形で,アラブのそれは,それ自体がトニックとなってゐる,といふところに大きな違いがあります。」