ようこそ!このプログは,地方都市在中の私ことフルカワヒロミという腐れ外道が,これまで音楽活動等をする際に使っていた自己オフィスが有名無実化していることを嘆き,個人的な情報発信(というか,音楽を中心に好きなモノを好き勝手に語る)の場として,皆様のお目汚しを気にせず,書き殴っているものです。これを読んで同調してもらえたり,興味を示してもらえれば光栄ですが,なにせ不親切きまわりない内容ですので,更に深く調べたい方はリンク先やGoogle等の検索サイトでお願いしますm(_ _)m

甲子園の空に笑え!/川原泉


 いや〜しかし,突如として寒くなったですよねぇ。木曜日の朝なんて,寝袋1枚じゃとても眠れなくて,明け方に毛布を出してきましたです。で,木曜日はお休みをもらっていたので,早速冬支度をしましたです。まぁ,冬支度と言っても,半袖の服(インナーとして着るのでTシャツは除く。)を片付けて,セーターを引っ張り出して,愛用のどてらを出し,冬に愛用しているスリッパを洗濯して,石油ファンヒーターとかの暖房器具を出して,灯油を買いに行ったのさ。で,灯油を買いに行ったら,ガソリンスタンドのお兄ちゃんから,ポリタンクのキャップのゴムパッキンが劣化しているので,灯油が漏れるよと言われたので,今年こそは電動の灯油ポンプを買い換えるので,そのついでにホームセンターで見てみるか?と思って,ホームセンターに行ってみると満タンストップ機能付きの電動灯油ポンプがお手頃価格であった(しかも電池が単三。)上に,あるじゃないですか,ポリタンクのキャップだけが。喜び勇んで4つ買って,全部付け替えましたです。これで灯油を買いに行くとき,こぼれて灯油臭くなることも少なくなるかなぁ?

 で,先週,スウィングガールズを取り上げた際,高校野球なんか嫌いだ!発言をしていたので,そのついでに私の好きな高校野球を馬鹿にした漫画,川原泉大先生の初期作品「甲子園の空に笑え!」を御紹介したいと思いますです。
 この漫画の単行本は1985年に発売された,川原泉の2冊目の単行本なのですが,そもそも今も昔も私は音楽も好きですが漫画も大好きで,昔は少女漫画から三流エロ劇画まで!を合い言葉に多方面の漫画を読んでいたのですが,妹が買っていた白泉社のLaLaという少女漫画誌が結構面白くて,妹から借りて読んでいたのですが,そのときに絵はそんなに上手くないのですが,台詞回しとかストーリーとかに惹かれて,今も好きなんですけど,あまりに佳作な人なので,昔のを繰り返し読むしかないのですが,でも,いつ読んでも新たな発見とか感動がある私にとっては神のような漫画家の一人でございます。
 この単行本には,タイトルの“甲子園の空に笑え!”のほかにも“3月革命”,“月夜のドレス”,“メロウ・イエロー・バナナムーン”っていう漫画も入っているので,それらについてもサラッと触れていきたいと思いますです。
 では,最初に“甲子園の空に笑え!”なんですけど,この漫画ほど高校野球(のシステム)を小馬鹿にした漫画はないのではなかろうかと思いますです。私も体育会系の人間でなかったので,体育会系の人間が学校で優遇されて,音楽をやっている人間はどっちかというと下に置かれていたような学校にいたので,本当,この漫画を読んで気持ちよかったですね。ストーリーとしては,田舎の高校に赴任した主人公の新卒女性教師が,学校の人材不足でなぜか野球部の顧問になり,その野球部も田舎の学校なもんで部員が9名しかいなくて,どうしたもんかいと思っていたら,主人公がなぜか打力だけはあったので,無茶苦茶なノックをしているうちに生徒が上手くなり,なぜか知らないけど運に恵まれて(運も実力のうちだけどさ。),県大会を制し,甲子園へ行き,決勝戦まで戦うというストーリーなんですけど,世間の野球の上手い生徒を特待生で集めて,金に物を言わせて優勝するっていうのが現実の高校野球なんですけど,そんなシステムを鼻で笑って,運だけで勝ち進んでいくという,アンチ高校野球な人間にとっては非常に痛快なストーリーとなっています。この漫画の中でもそういった批判はされていて,例えば県大会の前にシード校(いわゆる強いチームを特別扱いにする奴ね。)をどうするかを協議するときに,1人の役員が「シード制は高校生を差別することです。」といった発言に対し,「1回戦から強豪同士がぶつかったらもったいないじゃないか。」と反論が出るのですが,それに対して「それではもったいない高校生とそうでない高校生がいるということなのか?」と疑問を呈し,最終的にはシード制を取りやめることになるのですが,この「もったいない高校生とそうでない高校生がいることなのか?」という問いかけは,まさしく私の言いたいことで,野球とかのスポーツをやっている高校生と音楽をやっている高校生を同じように日を当てろよ!(まぁ,今はそうでもないのですが,昔は本当に日の当たらない存在だったんですよ。)と思っていましたので,本当に激しく同意でございますですよ。それから終盤の決勝戦の直前の主人公のこのモノローグも好きなんですよね。大好きなので引用しますけど,「わしらは栄光とか優勝とか,そんなもんに輝かなくてもいいんだな。人間,妙な欲を出しちゃいかんのだな。あ〜今日も,運が良いといいね,楽しいといいね,幸せだといいね。」ってなんかしみじみしてしまいますよねぇ。そうなんですよ,人間,妙な欲を出しちゃ駄目なんですよね。しかし,こんな言葉を少女漫画で読めるなんて思ってもいなかったんですけどね。
 2話目の“3月革命”は,主人公の女の娘と血の繋がっていない弟のよく分からないラヴストーリーなんですけど,弟が高校入学を前にして自分の気持ちを主人公に伝えるのですが,主人公が弟の気持ちに応えなかったために,弟は全寮制の高校を卒業した後はアメリカ留学をして,ずっと帰らなかったところ,主人公の結婚を機に一時帰国したのですが,結婚式直前に主人公が自分の気持ちに気づき,弟と駆け落ちをするという,どこぞの映画をまぜこぜにしたような漫画なんですけど,弟のモノローグが秀逸で笑えるので,さすが川原泉だと思いますです。
 3話目の“月夜のドレス”は,主人公の女の娘と剣道部主将で女装趣味(というか多分,逃避的な行動ではないかと思うのですが。)の男の子の淡々としたラヴストーリーなんですが(よく考えると,川原泉の漫画で描かれる恋愛は,どれもストーリーの脇役的な淡々としたものが多いですね。),男の子が段々と主人公の女の娘に惹かれていく話なんですけど,これも男の子の台詞が秀逸で「デパートのマネキンさんはいいなぁ・・・毎日きれいな服着れてなどと考える自分が悲しくて,剣の道一筋に打ち込んでみたりしたが,その甲斐もなく名月に誘われてついフラフラと・・・気がつくとカーテン着て踊ってた。」っていうのは無理して普通であらねばと努力してきたけれど,やっぱり自分の好きなことをしてしまったっていうのがすごくよく伝わってくるんですよね。非難されることは当然予想されるんだけど,それでもやってしまう(やらずにはいられない。)っていう気持ちは非常によく分かります(が,この話は少し極端なんですけどね。)。最終的にはとぼけた主人公の凛々しさを見て,カーテンドレスを着て夜中に踊ることを止めてしまうんですけど,その辺の微妙な心理描写も秀逸で,これも個人的には大好きな話ですね。
 最後の4話目の“メロウ・イエロー・バナナムーン”は,ちょっと毛色の変わったSFっぽい作品で絵のタッチも違う初期川原作品で,母親代わりのコンピュータに育てられた男性(この辺は“2001年宇宙の旅”かな?)と主人公の女性のSFドタバタ恋愛系の漫画(恋愛系と言っても,主人公と男性は結婚していたのですが,結婚1時間後に男性とコンピュータが会話しているのを聴いて,コンピュータにはかなわないって思って,逃げ出して,関係を再構築するので,少女漫画的な恋愛ではないですけど。)なんですけど,いろいろな要素が入り交じっていて,個人的にはこれも非常に面白い漫画(多分,こういった要素が後の“ブレーメン?”で開花したのではないかと思いますです。)だと思いますです。で,この漫画では母親代わりのコンピュータが主人公に話しかけた台詞が秀逸で「ハジメテ,アナタニ会ッタ日ノ,アノ子の顔,今デモ忘レナイ。人間ノ幸セヲ定義スルノハ不可能ダケド,アレハマサニ薔薇色ノ人生。」っていうものなんですが,「人間の幸せを定義するのは不可能」っていう言葉が重いですよねぇ。別にコンピュータだから定義不能ではなくて,誰もが他人の幸せの定義をすることは不可能なんですけど,分かりやすくコンピュータに言わせたって感じですかね,さすが川原先生です。

 しかし,2週続けて音楽以外のネタでお送りいたしておりますが,実は最近,これは!っていうCDがないんですよねぇ。12月になれば,続々と発売されるんですけどねぇ。自転車に乗ったついでにレンタルCD屋のレンタル落ちコーナーとかも探してるんですけど,いまいち触手が動くようなCDがありませんし,この3連休でちょっとCD屋を久しぶりにじっくり徘徊してみましょうかねぇ。ひょっとしたら知らなかっただけで触手が動くようなものが出ているかもしれないし。というわけで,最近は本当に藤井一彦のLAZY FELLOWをヘビロテ中でございます。