久しぶりに新しめのバンドのレビューを(と言っても既に解散してしまったけど。)。
最近の若手バンドは,なんていうのか,歌詞がもうおじさんには理解できない状態なので,ほとんど壊滅状態なんだけど,NUMBER GIRLはイメージの断片をつづったような歌詞が印象的で,しかもそれを無理矢理歌っているという潔さ(故に歌詞カードを見ないと,何を歌っているのかサッパリ分からない。)があって,気に入ってしまったバンドですね。
そもそもNUMBER GIRLのことを知ったのは,宝島社のムックに“音楽誌が語らないJ-POP批判」というものがあるのですが,それで,メジャーデビュー盤の“SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT”が紹介されていて,面白そうだなと興味を持ち,その後“シブヤ ROCKTRANSFORMED状態”というライブ盤を購入し,「おっ格好いいじゃん」と思って,ファンになりました。しかし,NUMBER GIRLは初期は音的にはガレージっぽい音を狙っていたせいか,インディデビュー盤にしてもメジャーデビュー盤にしても,ライブ盤にしても音が悪くて,ボーカルが何を言っているのかさっぱり分からん状態だったんですよね。
まぁ,メジャーの2枚目の“SAPPUKEI”からは音もあえてガレージっぽさがなくなり,クリアーな音で聞きやすくなったのよろこんでいたのですが,確か2ちゃんで解散の話を聞き,えっ・・・と思いつつ,買ったのがこのラストライブ盤です。
で,聞いてびっくりしたのが,前回のライブ盤と異なり,ボーカルが何を歌っているのかが,本当によく分かるいい音で,向井秀徳のあの壊れた歌詞がハードな演奏とともに更に際だっていて,もう少し活動期間が長くてもよかったんじゃないかなぁ,もったいないなと思ってしまいました。
このCDの個人的な聞き所は,2曲目の“鉄風鋭くなって”から3曲目の“ZEGEN VS UNDER COVER”のところ(「カッコばよろしい歌ば作り,聞いてもらえりゃ万々歳。そんな私は歌舞伎者」なんて台詞は向井らしくて格好いいし,この曲順も最高!),9曲目の“NUMAMIDABUTZ”から10曲目の“delayed brain”の流れ(個人的には“NUMAMIDABUTZ”は大好きな曲なので,アルバムバージョンよりも演奏がハードなこのライブ盤の方が好きですね。),19曲目の“日常に生きる少女”が終わった後,延々と最後のあいさつを語り,20曲目の“OMOIDE IN MY HEAD”に入るところは最高に格好いいですよね。
もし,NUMBER GIRLは音が悪くて,何言っているのか分からないんだよね・・・と思っている方がいれば,とりあえずこのライブ盤を聞くことをオススメしますです。
で,このバンドの魅力は何か?と聞かれれば,やはり向井秀徳のあの言葉とアヒト・イナザワのドラムでしょうね。本当に体全体で叩いている感じが伝わってくるので,このドラムの音とあの歌詞がなければ,多分,よくいるガレージバンドだったんじゃないかなぁ。
で,解散後に向井秀徳がやっているZAZEN BOYSはまだ聞いていないんだけど,また機会があれば,聞いてみようかなと思っています。