THE STALINの名盤といえば,多分,自主制作盤のtrashという人が多いと思うのですが,trash発売当時,地方都市の中学生であった私が入手できる術もなく,したがって聞いたこともないので,私としてはパスさせてもらいます。
で,メジャーからのファーストアルバムのSTOP JAPもすごく好き(というよりも,どれも好きなんだけど)やっぱり,衝撃を受けたという意味では,この「虫」だ!と言うしかないです。
だいたい,パンクバンドのアルバムっていうと,洋物パンクの歌詞とかからパクったようなアルバムタイトルが多い中,「虫」ですよ,「虫」。本当にこれぞパンクだよね。
収録曲も,水銀だの365だの泥棒だの天プラだの,一つ間違えば,コミックバンドですか?っていうようなタイトルだもんなぁ。
しかし,重たいリフから始まる水銀から,最後のひたすら重たい「虫」まで,聞いた人は約30分の間,THE STALINの世界に引き込まれざるを得ないと思います。
また,歌詞も,「天プラ おまえだ カラッポ!」だけとか,「遊びたい!遊ぶオンナは嫌いだ」だけとか,「死んだふりをしろ!何も怖くない!死んでしまったよ!倒れたヤツが居る」だけとか「勝手にしろ いいけがんにしろ デタラメなんだ 吠えづらかくな 帰りたいよう!」だけとか,本当に曲なんですか?って感じなのですが,これがバンドの出すハード・パンク的なサウンドと相まって,ひたすらせっぱ詰まった感じを醸し出しており,最高の出来となっています。
そもそも,以前書いたと思うのですが,フォーク小僧だった私は友部正人の影響を受けて,歌詞が長くて,ストーリー性があって,しかもメッセージが伝わってくるというものが好きで,自分もそんな感じの曲を書いていたのですが,「虫」を聞いて,変わりましたね。言葉そのものにメッセージがないように見えても,全体として伝わるものがあればいいんだということです。
とか何とか言いながら,THE STALIN解散後のMichiro Get The Help!の1枚目,1985・sex・オデッセイでは,死ぬほど長い歌詞で,10分以上,sex!,sex!とのたまっていましたが・・・(なお,この曲を私が主催した野外イベントで大音量で流して,他の出演者のひんしゅくをかったのも若気の至りですか?)。
今は,アコースティックギター1本で,これぞパンクとしか言いようのない活動をしている遠藤ミチロウですが,私が今後も聞き続けていきたいアーティストの1人です。